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【2】「「お裾分け」から見えてきた、人々が作る新しい関係づくりの研究」 金子ゆりさん(ビジュアルデザインコース)【1月24日更新】


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第20回 卒業制作展 学生インタビュー(2)

「 「お裾分け」から見えてきた、人々が作る新しい関係づくりの研究」

金子ゆりさん(ビジュアルデザインコース)
常葉大学造形学部では、2024年1月26日(金曜日)~28日(日曜日)の日程で、第20回卒業制作展を開催いたします。卒業制作展へ向け、毎日作品と向き合っている4年生に卒業制作に関するインタビューを行い、連載記事として掲載することとなりました。

第2回はビジュアルデザインコースの金子ゆりさん。「「お裾分け」から見えてきた、人々が作る新しい関係づくりの研究」を行い、冊子を作ったり、インタビューから得た情報をマッピングしたりしながら研究を進めています。お裾分けをテーマにしたきっかけや、見にきてくれた人に伝えたいこと、卒業制作を通して得た学びについて伺いました。

「料理」に対する興味を掘り下げ、辿り着いた「お裾分け」というテーマ

卒業制作の内容について、丁寧に説明してくださった金子ゆりさん
「“家庭料理をお裾分けする”っていうところに興味を持ったことが私のスタートでした。」

料理をするっていう行為にとても興味があり、ずっとこの行為には何か意味があるだろうなって考えていました。料理って、日常の当たり前の行為だと思うけど、見捨てちゃいけないような気がしていて。卒業制作を通して料理に関して何か少しでも発見が得られたらいいなと思い、学んできたデザインの知識を活かして研究をしようと考えました。

「“料理”を分解したときに料理だけをやっていても意味がなく、料理を取り巻く社会課題について考えた時に“お裾分け”にたどり着きました。」

マッピングを見せながら丁寧に説明をしてくださった金子ゆりさん

夏に製作された冊子をもとに、課題を決定するまでの過程についてお話を聞かせていただきました。

「問いを見つける」ということを考えたときに、自分の中にある料理っていうものを色々細かく分解していき、自分は料理の中の何に興味があるのか、どこに自分は焦点を当てればいいんだろうっていうのを、ずっとぐるぐる考えていました。考えていくうちに、「作ってもらう」という行為に興味を惹かれました。

作ったものをもらうとか、美味しく作ったものをあげるとか、自分のために料理をしたものを他の人にあげるという行為に疑問を持つようになり、お裾分けの研究をする流れになりました。

夏に製作をしたお裾分けの研究に関する冊子


お裾分けの研究から見えてきた社会の在り方

日頃の授業で得た視点とは一味違う、研究での視点について話してくださった金子さん。

「収穫するっていう行為をしているのに、やっていることは収穫をしながら人と話したり、近所同士のやり取りをしたり、そういう別の世界関係がその中にあって。」

この研究では、サービスデザインのように「この人のこの暮らしをこう変えたい」というわけではなくて、その人がやっていることをただ見つめていくことや、そこでしか起きてないことを聞いてみて、自分で解釈していくことが1番の核となった姿勢かなっていうのは思います。産業や社会のように大きい規模で見つめないといけない時もあるけど、小さい規模で見つめていくことも、社会のデザインをする時に、時々大事になるんじゃないかなっていうのは思いました。

この研究で金子さんが考えた社会の在り方について伺いました。

「この社会を良くしたいんだっていう目標を持って取り組んでいる人たちもいるし、生活している人たちがやっていることも大事だし。だから、そこは分断するんじゃなくて、生活している人たちがやっていることはちゃんと社会に戻してあげないと、本当にいいものって作れないよねっていうのはこの研究や先生との対話を通して思っていて。今は「分断社会」と言われていて、いろんなものが大量生産とか大量消費とかされているんだけど、そうじゃなくて、生活している人たちがやっていることっていうのは取りこぼしちゃいけないものもたくさんあるから、それを産業の方に持っていきたいなっていう思いもずっとありました。」

卒業制作を通して気づいた自分の強みと対話の大切さ

「結構、私、就職活動でも自分がアピールできるポイントってなんだろうってずっと悩んでいた時期があって。 あまりリーダーシップも取れる方じゃないし、グラフィックもそんなに自信がないなと・・・」

卒業制作では、研究内容だけではなく自分自身ともよく向き合っていたという金子さん。

卒業制作はやり方が決まっているわけではないため、自分だけが持っているやり方や自分にしかできないやり方がとても駆使しやすかったそうです。また、先生と話をしていた時によく「小さい規模で見ることができる」という話をしていたそうで、金子さん自身、生活している人たちに入っていきやすいことや、小さく追い求めていくことが得意であることが今回の研究で筋道立てていけた理由の1つだとおっしゃっていました。

「まだ“これが得意です”と言えるほどのものを見つけたわけでないけれど、自分は“これができるかもしれない”という種を見つけることができた。それを生かしていくことが次のステップです。」

最後に、卒業制作を通して皆さんに伝えたいことをお聞きしました。
「自分がこれは大事だって思う感覚を外に出していかないとうまくいかなかったなと思います。外に出さないと、対話の種にもならない。研究って誰もやったことがないことだからこそ、自分の力だけではなくて、人との対話を1番大事にしてほしいなと思いますね。」

金子ゆりさん、貴重なお話をありがとうございました。

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