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第18回 卒業制作展 学生インタビュー(4) 「はなしいど ~ゆるく、つながる~」


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第18回 卒業制作展 学生インタビュー(4)
「はなしいど ~ゆるく、つながる~」

伏見 麗さん(デジタル表現デザインコース )

常葉大学造形学部では、2022年1月27日(木曜日)~30日(日曜日)の日程で、第18回卒業制作展を開催いたします。卒業制作展へ向け、毎日作品と向き合っている4年生に卒業制作に関するインタビューを行い、連載記事として掲載することとなりました。

デジタル表現デザインコースからは、伏見麗さんにインタビューをしました。タイトルは「はなしいど ~ゆるく、つながる~」。スーパーマーケットで生まれる人と人のつながりのお話や、自分が辿ってきた制作の道のりを伺いました。

新しく見つけた「スーパーマーケット」の在り方

真剣に卒業制作についての思いを語る伏見さん

伏見さんの卒業制作の「はなしいど」には4つの意味が込められています。「花」「話の“種(seed)”」「話す」、そして“ゆるいつながり”である「井戸端会議」。ここに辿り着くまで、伏見さんはどのような思いや考えがあったのでしょうか。

伏見さんは制作にあたり、まず「孤独死を防止するコミュニティの力の調査」を行いました。

「今、日本は孤独死が増加していて、社会的孤立度も高くて、孤独を不安に思う人が増えているという現状にあります。その主な要因としてコミュニティの力が弱まっていること、人と人との関わりが減っていることが挙げられます」

調査を進める過程で見えてきたのは、「話したい」と誰かに意思表示できる、誰にどんな話を振ればいいのかが分かる、直接ではなくても誰かとコミュニケーションがとれるコミュニティづくりでした。そこで、コミュニティをつくる場所として、伏見さんが選んだのはスーパーマーケット。数ある選択肢の中から、スーパーマーケットを選んだ伏見さんにはこんな思いがありました。

「アルバイトをしていたことから、スーパーマーケットに就職を決めていました。そこから、スーパーマーケットで使えるデザインを提案したいと考えるようになりました。現場で使えることを前提に考えたくて、スーパーの役割やいろいろな人たちがスーパーマーケットに対してどんなふうに思っているのかをリサーチしていくうちに、この場所は買い物に来るだけではなく、店員さんと話すしたり、例えば商品を見ながらお客さん同士で話すしたりするコミュニケーションを生きがいにしているお客さんが多いことがわかり、そこから内容を考えていけるのかなと思いました」

スーパーマーケットが存在する理由として、食材の購入に加え、近所の人や店員さん、知らないお客さんと話す楽しみがあるということに着目し、「人と人の関わり」が多くあるスーパーマーケットでコミュニティを作り、人とのコミュニケーションを活発に行うことで、孤独死の数を減らすことにつながるのではないかと伏見さんは考えました。

こだわりの種をまく

調べたこと、分かったことを1つ1つファイルへ、大切にまとめています

伏見さんの資料を見せていただいたとき、ノートやファイルがたくさんありました。パソコンでまとめることもできたはずですが、あえてアナログでまとめている点について、伏見さんにお話をうかがいました。

「私はどちらかというとデジタルでまとめるよりもアナログで書いたほうが好きで、そうするほうが覚えられるし、頭に入る感じがします。対象となる人々のリサーチをしていたところ、「機械があまり得意じゃない」とおっしゃる方がいました。そういう人たちが抱える気持ちを理解するためにもアナログでまとめていこうと思いました」

自分と違う人と同じ目線で見ることは難しいこと。そして、同時にとっても大事なこと。小さいことかもしれないですが、伏見さんはこの制作で、「自分がまず変わること」に挑戦しました。そして、卒業制作のテーマ「はなしいど」についてもうかがいました。

「誰と話していいかわからない、何を話していいかわからない人に話し出すきっかけを提供したいと思って、「話に花を咲かせる」、「話の種」といった植物に関連した言葉の意味を含められたらと考えて、はなしいどにしました」

はなしいどに使われている花の名前はシオンといいます。花言葉は「あなたを忘れない」。このお花を介して言葉の会話をすることで、たくさんのコミュニケーションのお花が生まれる仕掛けを伏見さんは考えました。花言葉もそうですが、いろいろなところにこだわりが散りばめられていますね。

「周りを幸せにする」未来の自分を育てる

伏見さんと指導教員の渡辺学先生。お互いの仲の良さが感じられます

デジタル表現デザインコースの指導教員である渡辺学先生にも、伏見さんの卒業制作についてうかがいました。

「進路と卒業制作がちゃんとつながっていますね。4月からはスーパーマーケットで働くことになるわけですが、卒業制作で積み上げてきた内容は最高のネタ帳になると思います。一年間じっくりとやってきているので、アイデアマンとして活躍してくださるんじゃないかな」

就職後の自分の未来を見据えた伏見さんの卒業制作は、今の自分を変えるだけでなく、未来の自分や周りの人も変えていく力があると感じました。

伏見さんはまず、「孤独死が増えている」という現代日本の問題から、コミュニティを作ることで孤独死の人数を減らせるのではないかと考え、地域において人の会話で溢れている場所のひとつであるスーパーマーケットで、人とのつながりを増やすことを試みました。そこで、孤独死に関心のある50代以上の年齢層の方に向け、アナログにまとめるなどの工夫を重ねて、新しいコミュニティづくりを目指していました。

孤独死を減らすために考えた「コミュニティづくり」でしたが、このテーマからも人々の幸せを思う伏見さんの温かい気持ちが伝わってきます。未来のスーパーマーケットがいろいろな人の会話や笑顔で溢れる場所として、人々の心に寄り添う存在になっていくことを願っています。伏見さん、渡辺先生、貴重なお話をありがとうございました。

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