第18回 卒業制作展 学生インタビュー(1)
「人と微生物の営みが関わり続けるあり方を明らかにする実践報告」
荒石磨季さん(ビジュアルデザインコース 4年)
「人と微生物の営みが関わり続けるあり方を明らかにする実践報告」
荒石磨季さん(ビジュアルデザインコース 4年)
常葉大学造形学部では、2022年1月27日(木曜日)~30日(日曜日)の日程で、第18回卒業制作展を開催いたします。卒業制作展へ向け、毎日作品と向き合っている4年生に卒業制作に関するインタビューを行い、連載記事として掲載することとなりました。
第1回はビジュアルデザインコースの荒石磨季さん。「人と微生物の営みが関わり続けるあり方を明らかにする実践」を行い、それをひとつの書籍としてまとめています。人と微生物の関係に着目したきっかけや、手に取ってくれる人に伝えたいこと、卒業制作を通じた自身の成長について伺いました。
第1回はビジュアルデザインコースの荒石磨季さん。「人と微生物の営みが関わり続けるあり方を明らかにする実践」を行い、それをひとつの書籍としてまとめています。人と微生物の関係に着目したきっかけや、手に取ってくれる人に伝えたいこと、卒業制作を通じた自身の成長について伺いました。
人々の拠り所となるような喜びを見つけ、自らの体験を発信する
優しく丁寧に、自身の卒業制作について答えてくれた荒石磨季さん
「もともと、私は大量消費社会に対して違和感というか、あまりよくないんじゃないかなって思っていて・・・」
荒石さんは、大量生産大量消費される社会の中で、失っているものがたくさんあると感じ、中でも暮らしと自然には密接な関わりがあることに気が付きました。人々は手作りしない暮らしの中で、密接な関わりを意識せずとも過ごせるようになったのではないか、だから私たちは「環境保護によい」ことや「生きがいになる」ことなどを通じながら自然と関わろうとしているのではないか、と荒石さんは考えるようになったそうです。
「みんなが意識するような、これが価値だとたくさんいえるようなこと以外にも、何か喜びがあるのか、根源的なものがあるのか。その喜びを見つけたいなと思っていました」
荒石さんは、大量生産大量消費される社会の中で、失っているものがたくさんあると感じ、中でも暮らしと自然には密接な関わりがあることに気が付きました。人々は手作りしない暮らしの中で、密接な関わりを意識せずとも過ごせるようになったのではないか、だから私たちは「環境保護によい」ことや「生きがいになる」ことなどを通じながら自然と関わろうとしているのではないか、と荒石さんは考えるようになったそうです。
「みんなが意識するような、これが価値だとたくさんいえるようなこと以外にも、何か喜びがあるのか、根源的なものがあるのか。その喜びを見つけたいなと思っていました」
書籍のプロトタイプ
荒石さんは「土と内臓」(著:デイビッド・モントゴメリー/アン・ビクレー)を読み、豊かな食文化を作ってきた人と微生物の関係に注目しました。また卒業制作ではこれまで学んできたことがどうやって活きるのかを考えました。荒石さんはサービスデザインの学びで人が本当に思っていることの深掘りを行った経験を活かし、畑作りや発酵食品作りを続ける人たちを観察し、自身も当事者となって畑を耕してきました。卒業制作の書籍には読んだ人がやがて当事者になる際に、思い出して拠り所のひとつとするような想いが込められています。
人が持つ大きなエネルギーは、自分とっても誰かにとっても大切なことになる
安武伸朗先生と荒石さん
「自分がやっていることを発信するのは、世の中にとってよくも悪くも影響を与えるのだけど、自分の姿を本人たちが残しすことは、すごく大事なんだ、と私はみんなに伝えたい」
荒石さんは自分の活動を通じて何かを実際にやっている人たちは大きなエネルギーを持っていることに気づきました。続けることでその人の中で経験値として溜まり、自信や、周りに対する理解が積み重なっていくといいます。
幅広い視点や経験から見つけた答え
「今までと違って課題はいろんな方向から解決していかないといけないんだって気づいたんだよね」
荒石さんはサービスデザインをビジネスと人々の暮らしをつなぐ“大きな仕組み”と捉えており、うまくいかないことが多かったそうです。しかし、この研究を通じて、サービスデザインも仕組みの一部であり、アプローチ方法を変えて欠けた部分を補えばいいことに気がつきました。作成している書籍でも、自身にとっては大事だと思って書いていることも、ある人にとってはちっぽけかもしれないと感じるようになりました。
「造形学部の従来の卒業制作の枠に入らないかもしれないですね。どちらかというと、デザインを学ぶことで新しい知を探している人たちの仲間にいるという感じかもしれません」
そして、荒石さんの指導教員である安武先生にもお話を伺いました。
「サービスデザインの学びの積み重ねがあり、さらに新しい分野に越境して違う学問領域の人にも教わりながら、研究を進めていくという点で素晴らしい向学心だと思います」
荒石さんの卒業制作には3つの特徴があるそうです。1つ目はサービスデザインから進んでソーシャルデザインという社会のためになるデザイン活動をやっていること。2つ目は本人が当事者として追求していくこと。これは自分の問題点から切り込んでいったという点で非常に価値のある研究だと安武先生は言います。3つ目の特徴として、荒石さんの研究は、デザイン学以外の社会学や文化人類学の分野にまたがるため、安武先生に仲介してもらい、関東学院大学人間共生学部のゼミに参加して助言を受けています。「他大学の先生に聞くのがこわかった」といいながらもマイナーサブシステンス(遊び仕事)という概念を教わったことは大きな発見だったと話す姿は楽しげな様子。自らの興味に真摯に向き合い研究を進めると専門分野を超える学びになるという、一つの良い例といえるかもしれません。
荒石さんは自分の活動を通じて何かを実際にやっている人たちは大きなエネルギーを持っていることに気づきました。続けることでその人の中で経験値として溜まり、自信や、周りに対する理解が積み重なっていくといいます。
幅広い視点や経験から見つけた答え
「今までと違って課題はいろんな方向から解決していかないといけないんだって気づいたんだよね」
荒石さんはサービスデザインをビジネスと人々の暮らしをつなぐ“大きな仕組み”と捉えており、うまくいかないことが多かったそうです。しかし、この研究を通じて、サービスデザインも仕組みの一部であり、アプローチ方法を変えて欠けた部分を補えばいいことに気がつきました。作成している書籍でも、自身にとっては大事だと思って書いていることも、ある人にとってはちっぽけかもしれないと感じるようになりました。
「造形学部の従来の卒業制作の枠に入らないかもしれないですね。どちらかというと、デザインを学ぶことで新しい知を探している人たちの仲間にいるという感じかもしれません」
そして、荒石さんの指導教員である安武先生にもお話を伺いました。
「サービスデザインの学びの積み重ねがあり、さらに新しい分野に越境して違う学問領域の人にも教わりながら、研究を進めていくという点で素晴らしい向学心だと思います」
荒石さんの卒業制作には3つの特徴があるそうです。1つ目はサービスデザインから進んでソーシャルデザインという社会のためになるデザイン活動をやっていること。2つ目は本人が当事者として追求していくこと。これは自分の問題点から切り込んでいったという点で非常に価値のある研究だと安武先生は言います。3つ目の特徴として、荒石さんの研究は、デザイン学以外の社会学や文化人類学の分野にまたがるため、安武先生に仲介してもらい、関東学院大学人間共生学部のゼミに参加して助言を受けています。「他大学の先生に聞くのがこわかった」といいながらもマイナーサブシステンス(遊び仕事)という概念を教わったことは大きな発見だったと話す姿は楽しげな様子。自らの興味に真摯に向き合い研究を進めると専門分野を超える学びになるという、一つの良い例といえるかもしれません。
安武先生のコメントをメモする荒石さん。真剣な姿がかっこいいです
「荒石さんは当事者としての研究をビジュアルデザインの卒業制作としてブックデザインでまとめました。しかし、卒業後も研究や実践は続くと思います。その時は展示会や映像メディアにも展開できるし、ワークショップという場のデザインもありえます。いろんな可能性が荒石さんを待っているのだろうと楽しみにしているところです」
さらなる発展に期待が高まります。
安武先生のコメントをメモする荒石さん。真剣な姿がかっこいいです
荒石さんならではの様々な角度からの視点や、たくさんの想いが詰まった卒業制作だと感じました。荒石さん、安武先生、貴重なお話をありがとうございました!!
さらなる発展に期待が高まります。
安武先生のコメントをメモする荒石さん。真剣な姿がかっこいいです
荒石さんならではの様々な角度からの視点や、たくさんの想いが詰まった卒業制作だと感じました。荒石さん、安武先生、貴重なお話をありがとうございました!!