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誰もが輝ける社会へ!ダイバーシティ時代を生きる。


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「多様性」を認め合う社会のために、常葉大学は何ができるか

多様な生き方や働き方が求められる時代となりました。さまざまな立場や異なる考えを持つ人たちが互いに認め合い、それぞれの個性を発揮し社会に貢献できることが重要となります。常葉大学は総合大学として、多種多様な学部・学科を持ち、地域社会で活躍できる人材の育成を使命としています。その実現に向け、多様性とは何かを考えます。

ダイバーシティを進めるために

赤塚 私たちの世代からすると、学生自身も多様化していて家族との関係性もさまざまです。家族とは切り離せない関係ですから、教員としても学生に聞き取りを行い、なるべく柔軟にフォローができるように心掛けています。また、働き方ということで考えると、私は大学内に託児所があったらいいのにと思うことがありますね。さまざまなライフステージの女性が子どもを育てることができるような環境が整うと良いと思います。

吉﨑 最近はワークライフバランスという言葉がよく使われますね。赤塚先生の今のお話もそうですが、介護離職や若者の定着率の低さといった問題も、会社や企業の側が個人の抱えている問題を上手く吸収できていないということに起因しているのではないかと思います。

赤塚 そうですね。保育園に比べて幼稚園では園児が帰った後にも翌日の準備などで遅い時間まで拘束されてしまうこともありますから、特に離職率が高いです。旧態的な働き方がまだまだ解消されていません。

松村 先ほどの託児所のお話もそうですが、子育て世代が子どもを大切にしながら働くことができるような配慮が社会にも必要だと思います。介護離職や高齢者虐待の問題も、生活に余裕がないから起きてしまうものです。こういった点を社会保障の側面からフォローし、制度的に充実させていかなければならないと思います。

白鳥 教育においても、昭和の時代は1クラスの人数が40〜50人と今よりも多く、少数派の意見は切り捨てる方式がとられてきました。これからの時代は、かつて切り捨てられてきたマイノリティ(社会的少数派)の声に耳を傾け、誰もが当事者意識を持つことが大切だと思います。また、一部の人だけではなく多くの人が意識を持たなければ社会は変わりません。ある地域では当たり前になっていても、他地域ではそうでないこともたくさんあります。

赤塚 実際同じ県内でも、その土地の気質や環境によってずいぶん教育の質に差があります。それを学生にもきちんと知っていてほしいですし、子どもが日本のどこにいても同じ教育が受けられるように、地域格差を生まない配慮ができる保育者に育ってほしいと思います。

白鳥 確かに、現実をきちんと知らないままに現場に入ってしまうと、理想とのギャップに苦しむこともあると思います。外国籍の子どもや特別支援の必要な子どもに対しては、だんだん理解が進み始めているような気がしますが、セクシャルマイノリティの方への理解は日本ではまだまだ遅れているなと思います。

吉﨑 簡単には解決できませんね。女性の社会進出という風潮も、女性が選挙権を得た時から70年以上が経ったにもかかわらず、女性議員(衆院)の数は1%分しか増えていません。政府は女性の国会議員の数や企業の管理職を2020年までには30%にするという目標を立ててはいますが、これを実現するには法律でもって上から改革していく必要があるのではないかと思います。

赤塚 その話を聞くと、特別支援教育が市民権を得るようになってきたのは法律の力が大きかったと思います。通常学級の中で他の子どもと同様に教育していくことの必要性や、特別支援教育や発達障害の子どもの存在がよく知られるようになってきた実感があります。以前は保護者が子どもの障害に気づくということは難しかったのですが、近年では気づいて早期に相談に訪れることが多くなりました。知ることで対処ができるようになることはたくさんあります。例えば自閉症はパニックを起こしてしまうことがありますが、実はそれには前提条件や背景が必ずあります。これを周りが知識として知っていれば、パニックを回避することができる場合もあります。また、知ることで意外と身近なところに困っている人がいるということに初めて気がつくことができます。障害を身近に感じることが、支援につながっていきますので、既存のイメージを打破できるようなさまざまな経験を学生の間にしてほしいと思います。

座談会を終えて

赤塚 多様性を受け入れるために、まず自分の軸、価値観をしっかり持つことが大切だと思っています。その軸がぶれなければ、あとはいろいろな意見や方法があってもいい、多様な生き方ができるのではないでしょうか。障害者理解というのもこれにつきます。例えば、発達支援について教育や福祉、保健といったさまざまな領域の人と一人の子どもについて議論をする際に、言葉の捉え方一つとっても人それぞれ少しずつ異なります。場合によっては議論が噛み合わなくなったり、ぶつかってしまったりして生産的な話し合いができないこともあります。学生には、自分の持っている常識や習慣が必ずしも共有されるものではないということを常に忘れずに、さまざまな常識や習慣にふれる経験を積み重ねていってほしいと思います。

松村 患者さんの前に立つと、答えの解らないことへの対処を求められることがあります。答えを覚える学習から、答えを探し出すために考えるフェーズに切り替えが必要で、学生たちはとても戸惑うと思います。症状も生活背景も違う多様な患者さんを前にした時、悩む場面は誰にも必ずあります。そのような時に先行研究を調べたり、先輩からアドバイスをもらったりして自ら答えを探究することの重要性に気づくことができれば、実際に働く時に必ず役立ちます。出現している徴候にばかり気を取られてしまうと、その人自身ではなく麻痺した手足や動かない関節だけしか診ていない理学療法士になってしまいます。他者の多様性を受け入れることは、必ずしも居心地の良いものとは限りません。ですが、学生にはその居心地の悪さも受け入れることができる、柔軟さと忍耐強さを持った人材になってほしいと思っています。

白鳥 今松村先生がおっしゃったように、現場の学習を経験したあとに「あの時こうすればよかったな」という気づきを得て、学びを深めていくことに意義があります。常葉大学はボランティア活動に積極的な学生が多いので、チャンスは大いにあると思います。また、行ったことのない場所に積極的に飛び出してください。違う場所からの視点という一つの多様性を身につけることで、地元についてもっと深く知ることができると思います。違った環境に身を置くことで自分を省みることもできます。自分で考える力を育むことにもつながると思います。

吉﨑 ダイバーシティ時代を考えた時、今は過渡期にあるのだと思います。変化を求めるなかで、企業が学生に期待するのは個性、つまり多様な価値観です。自分の価値観をしっかり持っているかどうか、チームの中で発揮していけるかということを重視します。いろんな世代、国籍、特徴を持つ人が集まって何かを作っていくということは、きっと楽しいことでもあると思います。社会や経済がどんな風に動いているのかを把握すると同時に、自分の個性を理解して何を武器に社会に出て行くかということを考えて、主張していける人材を輩出していけるように指導をしていきたいと思います。

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