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経営学部の山田雅敏准教授がエフエムしみず『Sunday Nature』に出演しました


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収録風景

9月21日(日曜日)に放送されたエフエムしみず静岡(S-Wave)の番組『Sunday Nature』にて、本学経営学部で情報学を専門とする山田雅敏准教授が出演しました。

番組では、パーソナリティのしなっちさんとの対談形式で、現在取り組んでいる研究テーマ『暗黙知の言語化と生成AIによる技能伝承支援に関する研究』の魅力について語りました。

大学バスケットボールの指導経験

1995年から現在に至るまで、約30年にわたり大学バスケットボールの指導に取り組んできました。その中で常に課題となってきたのが、『スキルのコツを言葉で表現し、伝えることの難しさ』です。

バスケットボールは身体で覚えるスポーツである一方で、学習者の理解を深めるためには言語化が不可欠です。しかし、言葉による説明は選手によって受け取り方や意味が異なり、またスキルに関する情報は、暗黙知(言葉に表現し難い経験や直感、身体感覚に基づく知)の性質を持つため、実際の現場ではこちらの意図がうまく伝わらないことも少なくありませんでした。

大学女子バスケットボールの試合風景(2012年)


ラグビー高校日本代表チームの研究から得た気づき

科学研究費助成事業の調査におけるラグビー高校日本代表チームへの帯同の機会は、スポーツ指導における言語化の重要性を再認識する契機となりました。
全国から集まった選手たちが、限られた合宿期間の中で成果を出すためには、チーム全体で共通の理解を持つことが不可欠です。その課題を解消するために、日本代表チームの選手とスタッフの間では『集団語(チーム内で共有する専門的な言葉)』を意図的に作り出し、それを共有することで、意思疎通の精度とスピードを高める工夫がなされていました。

ラグビー高校日本代表の指導風景
(アイルランド ダブリン・2018年)

知識創造理論のSECIモデル
【文献をもとに山田雅敏が作成(Adobe Illustrator使用)】

世界の強豪チーム相手に対等に戦う代表チームの試合を垣間見て、『言葉の力』がチームの連携や戦術理解に直結することを実感しました。これは、経営分野で多くの研究業績を残し、暗黙知と形式知の相互変換を示すSECIモデルを提唱した野中郁次郎氏が指摘する、『知識創造のために集団内で共通した言葉を持つことの重要性』という考え方と一致しています。

この研究活動を通じて、効果・効率的な言語使用がスキル獲得を促進し、強いチーム作りに直結することを実感しました。この代表チームに帯同した経験は、スポーツ指導だけでなく、学生への教育や組織運営、さらには他分野の技能伝承にも応用可能な知見として、研究の方向性を広げる大きなきっかけとなりました。

生成AIによる製造業の技能伝承支援

約四半世紀にわたるバスケットボールの指導、そしてラグビー高校日本代表の現場で得た『暗黙知の言語化』という課題意識は、製造業の技能伝承にもつながりました。

たとえば、静岡県富士市、コニカミノルタジャパン株式会社およびコニカミノルタ静岡株式会社との産学官連携による実証事業(PoC)では、認知科学・感性情報学の観点から生成AIを活用して熟練技能者の知識や技術を可視化・言語化する支援を行ってきました。この取り組みは、従来のOJTのみ依存した技能伝承から、LLM(大規模言語モデル)を活用して体系的かつ効率的な指導への転換を目指すものです。
さらに研究の発展として、現在では富士市の伝統芸能『鵜無ケ淵御神楽(指定無形民俗文化財)』の継承支援プロジェクトにも取り組んでいます。

製造現場における概念実証(PoC)の概要
(2023~2025年)

伝統芸能の継承支援プロジェクト(2025年~現在に至る)
【コニカミノルタジャパン株式会社 掲載許諾済】

今後は、これまでの経験と研究から得られた知見を融合させながら、暗黙知の共有と継承に関する研究をさらに深めていく予定です。

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