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被災地で学んだ「文化と医療」の親和性


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私が災害看護学を学ぶきっかけになったのは2011年3月11日に起きた東日本大震災でした。当時、愛知医科大学病院の救命科で勤務していたためD M A T登録されていた医師や看護師、医療事務の方々が大慌てで準備をし、直ぐに被災地へ向かったことを今でも鮮明に覚えています。それから4年後、私も縁あって2015年10月から約1年半の看護師としての勤務を南相馬市立総合病院(福島県南相馬市)で経験しました。
 南相馬での勤務は新しいことの発見が多く、災害と医療の関係性について医学的な観点だけではなく、「生活と医療」といった視点で常に働くことの大切さを再認識しました。
 津波の影響により、家や家族を亡くした方々が仮設住宅や遠方への避難を余儀なくされ、生活の基盤を見失ったその時でも大切にしていたもの…それは「祭」でした。(写真は南相馬市(相馬地区)の祭事:相馬野馬追、盆踊りの風景)

祭祀・祭礼の形は、世界各地で多様な形を示す一種の宗教的な感謝や祈りとして理解されていると思います。宗教と聞くと皆さん毛嫌いされることもあるかと思いますが、日本人にとっての神道や日本仏教はごく自然に価値観として根付いています。大震災のような災害に見舞われた人々の中で生活が脅かされた時に残るものとして「祈り」があります。被災後、身体だけでなく心まで深く傷ついた人々にとって…その人にとっての価値観を生み出しているものの一つとして「宗教観」を理解することは、医療人として忘れてはならない感覚(センス)であると学びました。
皆さんの地域にも文化として根付いている宗教観などが見え隠れしていると思います。その地域にある感覚・価値観を蔑ろにせず「文化」として理解し、共感することが人と人の間に絆を生み、自助・公助・共助に繋がることを頭の片隅に刻んでおいて貰えると本当の意味での他者理解と癒しに繋がると思います。

南相馬市(相馬地区)の祭事:相馬野馬追

盆踊りの風景


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