『一生勉強』中

昨年度着任しました田中傑です。専門分野は都市（計画）史、災害史で、学部2年配当の『災害の歴史と科学』や『都市計画』などの講義を担当しています。
この2年間、講義準備にずっと追われて来ました。大学の教員はそれぞれの専門分野のなかの更に限られた領域を個人の研究テーマにしています（私のテーマについては次のURLをご参照ください。https://researchmap.jp/ketz_tanaka）。私が学生だった頃は自分の得意なテーマで半期全ての講義を構成する教員が見受けられましたが、同じことをしては受講生のためにならないばかりか自分自身も成長できないと考え、担当科目名のもとに取り上げられるべき内容を可能な限り網羅的に取り扱い、その準備を頑張ることを自分に課しています。
研究を中断して講義準備を頑張る理由は何か。上記のように私は都市計画の講義を担当してますが、学生時代を振り返ると、土地利用計画をテーマにしていた研究室では完全な落ちこぼれで、一人浮いて（沈んで）いました。ですから、本学での講義の準備を通じて『都市計画』を学び直し、当時から感じている劣等感から自分を解放することが個人的な（副次的な）目的となっています。

レッチワースのMeadow Way Green通りにある1914-16年と1924年に建設
された勤労女性向け住宅（当初用途）（2025年3月、田中撮影）

では、具体的にどう頑張るのか。誰かが執筆した文献の受け売りで終始するのではなく、自分の足で集めてきた情報をできるだけ盛り込むことを心がけております。都市計画というものは制度（の運用）のお話ですが、それら制度を理屈のみで語ってみても、また受講生に馴染みがない土地（東京を中心とした大都市）の事例に即して説明してみても、なかなか理解は得られないでしょう。そこで静岡市やその近隣の事例を題材とし、関連した二次資料に目を通すことに加え、過去の住宅地図を複写し、不動産の登記簿を取得するなどした上で講義のPowerpointを構成しています。
この3月にはレッチワースという世界初の田園都市を歩いて来ました。後期の講義では、他人の書いた本の受け売りだった昨年度とは異なり、自分の言葉で世界と日本の田園都市について語る積もりです。

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