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巻頭言


2025年度巻頭言 (第12回大会)
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声と身体を解き放とう
常葉大学 外国語学部長
増井 実子


今年も『多言語レシテーション大会』を開催できることを、心からうれしく思います。

レシテーション(暗誦)とは、既存の文章や詩・台詞などを、正確に暗記・再現するのではなく、意味や感情を理解したうえで音声表現する活動です。つまりレシテーションは、単なる記憶力の競争ではなく、『書かれた言葉を自分の身体で表現する』創造的な学びなのです。紙の上の言葉が、皆さんの声と身体に宿り、今日この壇上で花開く、そんなイメージを私は持っています。抑揚や間、視線、そして短い沈黙までもが意味を帯び、言語の壁をこえて聴き手の心に届きます。

ここ数年で急速に汎用化した生成AIは、無数の文章を均質に生み出すことができます。しかし、声による表現は、その瞬間、その人だけにしか生まれない一回きりのものです。小さな声の震えや息継ぎのゆらぎ、そして言い間違いでさえも、今日この場でしか生まれない、あなただけの表現です。どうか失敗を恐れず、自分の解釈に自信を持って、声と身体を解き放ってください。

『多言語レシテーション大会』は、順位を競う場であると同時に、互いの表現から学び合う場でもあります。高校生と大学生が同じ舞台に立つことで、学習歴の違いを越えて外国語を学ぶ輪が広がります。心を動かされた発表には、ぜひ惜しみない拍手を送ってください。拍手と敬意が、この会場を最良の教室にしてくれるはずです。また、大会後には交流会も予定しています。今回の工夫や努力を語り合い、次の挑戦へのヒントを持ち帰ってください。

最後に、出場者の皆さま、準備を担ってくださった本学の教職員・学生スタッフ、審査員の皆さま、ご指導くださった高校の先生方に、心より感謝申し上げます。今日の経験が、皆さんの外国語の学びと表現を、もう一段深める出発点となることを心から願っています。

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