グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



ジャパニーズウヰスキー的研究


ホーム >  教員コラム >  ジャパニーズウヰスキー的研究

私は医学部医学科を卒業後、母校の旭川医大と学外の関連病院を1年ごとまわりながら整形外科医としての研修を積んでいました。その研修もそろそろ終了年限の6年に近づいてきた時、大学の医局で脳性麻痺に対する神経筋促通法がちょっとした話題になりました。
私も大いに関心をもち1986年9月10~13日に青森市で開催された日本リハビリテーション医学会主催第25回医師卒後研修「脳性麻痺」を受講しました。3日目の午後一番の講義でした。中村隆一先生の「脳性麻痺の理学療法」を受講した時のことです。「神経筋促通法の時代は終わった。これからの脳性麻痺はフィジカルフィットネスだ!!」神経筋促通法の話が聴けるものだと期待して青森まで行ったのですが、レジュメにもちょっとだけしか触れていなかっただけのフィジカルフィットネスの話だけを熱く語られて中村先生は講義を終えられたのでした。しかし、私はこの講義に大きな感銘を受けたのです。そして翌1987年、脳性麻痺のフィジカルフィットネスに自分自身を投じることになり、そして32年が経ちました。
その当時、何ら根拠もないまま、ある有名な神経筋促通法の創始者は脳性麻痺に対する筋力増強訓練は筋緊張が増悪するため有害であると言いました。リハビリテーション医療に従事する多くの人々は彼の言葉を「信じ」、脳性麻痺に筋力訓練をしない時期が長く続きました。しかし、これは世界中の研究者の地道な研究によって否定されて行ったのです。流行を追わず地道に研究を続けるといつの日か世界を変えることができるのです。
私が共同研究者達とともに脳性麻痺のフィジカルフィットネスについて続けてきた研究は他にアジアではほとんどなされていません。ですから私たちの研究をウヰスキーに例えると、私の故郷北海道で作っているニッカウヰスキーのようなものかもしれません。ジャパニーズウヰスキー的研究なのです。

ページの先頭へ戻る