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ヒトは、どこへ行くのか? 骨とミトコンドリアの未来


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私の研究は、「骨」をテーマに取り組んでいますが、時々「なぜ骨?」と聞かれることがあります。言われてみれば「地味」ですよね。15年ほど前に読んだシグナル伝達の本に骨組織が力学的負荷に応じてその形態を変化させていくことが述べられていました。「骨は、どうやって物理的な力を感じるのか」と単純に疑問を抱いたのが「骨」をテーマに研究するきっかけになったのかもしれません。骨に加わる力には、体重や運動といった負荷がありますが、他に無くてはならないものがあります。それは、普段あまり意識することがない「重力」です。地球に暮らす私たちが受ける重力の大きさは、1G(重力加速度9.8m/s2)です。骨は、骨細胞により壊され(骨吸収)、骨芽細胞よって新しい骨が作られます(骨形成)。骨代謝は、骨細胞が重力などの力学的負荷を感知してシグナルが誘導されることにより骨吸収と骨形成が行われます。
近年の研究では、破骨細胞のアポトーシスにおけるミトコンドリアとシグナル伝達が関わっていることが分かってきています。

1960年代にアポロ11号が月面に着陸した以降、宇宙開発の進歩は凄まじく、1980年代からスペースシャトルによる宇宙輸送システムが進められ、1990年代には、国際宇宙ステーション(ISS)が建設されました。ISSの軌道は、地上から約400km上空に位置し、宇宙飛行士は、3~6か月もの間ISSの中で生活します。微小重力(0Gに近い重力)の環境下では、骨量の減少が避けられず、宇宙飛行士の健康上の課題となっています。

NASAの太陽系探査計画に火星への有人宇宙計画が含まれていますが、ヒトが宇宙で暮らす時代はそう遠くないのかもしれません。いったいヒトは、どこへ行くのでしょうか。微小重力の環境下で私たちの骨とミトコンドリアは、どう進化するのでしょうか。
皆さんも時折そんなことを考えながら夜空を眺めてみませんか。

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