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コーポレートガバナンス・コードと「作意」


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「習は古きを専らに用ふべし。作意は新しきを専らとす。」
                       『山上宗二記』

最近、「ガバナンス・コード」という言葉をよく耳にすると思います。身近なところでは、スポーツ団体ガバナンスコードでしょうか。様々なスポーツ団体において事件や不祥事が発生し、テレビや新聞などで大きく報道されました。そのほかにも、政党ガバナンス・コード、国立大学法人ガバナンス・コードなど様々な分野において「ガバナンス・コード」という言葉が使われています。
これらの流行は、コーポレートガバナンス・コード(以下、「CGコード」と呼びます)が契機となったと考えられます。平成27年6月1日、東京証券取引所は、CGコードを有価証券上場規程として策定しました。その内容は、上場会社に対して様々なステークホルダーと協働しながら中長期的な企業価値の向上を促進させる諸原則を取りまとめたものとされています。
CGコードの特徴は、厳格な法規範ではないという点にあります。例えば、ある特定の人たちにルールを守るようにするためには、まず法律という形式を用いて、ルールを遵守するように義務付けることが考えられます。また違反した場合には、刑罰や罰則などが課せられることがあります。
これに対して、CGコードでは、「コンプライ(遵守)・オア・エクスプレイン(説明)」と呼ばれる手法が採用されており、そのルールを遵守するのか、もしくは遵守しない場合には、その理由を説明することが求められます。これは、行為をする者の自主性を踏まえつつ、全体として望ましい方向へ導く新しい手法であると捉えられています。
令和3年にはCGコードが改訂され、サステナビリティを巡る課題への取組みが強調されています。とりわけ近年、日本企業はESG経営やSDGsへの対応といった新しい課題に対して取組むことが求められています。こうした時代の変化に応じたCGコードは一時的な流行ではなく、現在が、商法や会社法におけるパラダイムの転換期にあることを示しているのかもしれません。

読書案内
 ・松岡啓祐『コーポレートガバナンス・コード講義』(中央経済社、2022年)
 ・浜田宰『コーポレートガバナンス・コードの解説』(商事法務、2022年)
 ・中村直人=倉橋雄作『コーポレートガバナンス・コードの読み方・考え方〔第3版〕』(商事法務、2021年)

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