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子どもたちに語り継ぎたい昔話


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皆さんは昔話をご存じですか?それは、誰に聞かせてもらったものですか?
皆さんが知っている昔話の多くは、DVD、テレビ番組、絵本を通して知ったものでしょう。
ではそのDVDやテレビ番組、絵本などは誰が制作しているのでしょうか?
恐らく児童文学者や番組製作者が、いろいろな資料を元に自分の中にある昔話に対するイメージに沿って子ども向きに制作しているもので、文字で読んだり、映像で見たりすることを意識して創作されたものです。
しかし、元々昔話は口で語られ、耳で聞かれた口承文芸です。
現代では自分の「おじいさん」「おばあさん」から昔話を直接聞いて育ったという方はほとんどいないのではないでしょうか?高齢化社会において高齢者は増えましたが、日本の高度経済成長期を支え働き手であった現代の「おじいさん」「おばあさん」の中で自分の孫に昔話を語るようなお年寄りはほとんど存在しないでしょう。
常葉大学浜松キャンパスがある浜松市都田地区にも語り継がれた昔話がいくつかあります。
現在その昔話を調査していますが、地域のお年寄りでこの昔話を語る方にはまだ出会うことができず今に至ります。
このように、各地で昔話を語ることができる人がどんどん減少しています。
書籍には残っていて「目にしたことはあるけれど、耳で聞いたことがない」のでは、昔話は読むためのものになってしまいます。口で語られ耳で聞いた昔話の場面を頭の中に思い描くこと、耳で聞いた言葉を絵に置き換えるという力を養うことは、子どもの成長にとって大きな意味があります。昔話は語り継がれる間に、耳で聞いてわかりやすいシンプルでクリアな文体(語り口)を獲得し、代々受け継がれてきたのです。しかし今では、昔話を子どもたちに語ることができる大人は本当に少なくなってしまいました。一旦失われてしまったら、取り戻すことはできません。その意味で昔話は無形文化財です。
一つでも多くの地域の昔話を、未来の子どもたちに手渡す財産として残し伝えていきたいと考えています。

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