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21世紀社会に求められる健康観と健康プロデュース学部


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平成17年(2005)創設の健康プロデュース学部は、全国で初めてのコンセプトによる学部設置であったことから、認可申請時には「健康は医師がメンテナンスするもので、プロデュースという語を学部の名称にすることはいかがなものか」と言われたこともありました。しかし、すでに21世紀の健康科学は、車や機械のように body を修理し、調子の悪いところを maintenance するという健康観では不十分であり、WHOの健康の定義をみても、まさに今ここに存在する人間の問題として、身・心・社会とう観点から、健康を生み出していくという健康観が求められていることは明らかでした。promote healthの先にあるさらなる段階、健康を創り出していくことに貢献できる人材を育成する学部の必要性を訴え、健康プロデュース学部は認可されました。じつは、健康をプロデュースするという健康観は、医学の父、疫学の祖としてよく知られる古代ギリシャのヒポクラテスとその一派の医師たちの間で見られる人間観、健康観です。ヒポクラテスの思想や医の倫理に関する内容は、世界的に有名な『ヒポクラテス集典』に収められていますが、その中の「ヒポクラテスの誓い」は現代化されて世界医師会のジュネーブ宣言でも公式化され、現在に継承されています。今でも多くの医学部や医科大学の卒業式で、「ヒポクラテスの誓い」が朗読されたり、ヒポクラテスの胸像や碑が建てられていることは周知の通りです。『ヒポクラテス集典』の一節からは、積極的に健康を創り出そうとするヒポクラテスの姿勢や意図が窺えます。
 Even when all this is known, the care of a man is not yet complete, because eating alone will not keep a man well, he must also take exercise. For food and exercise, while possessing opposite qualities, yet work together to produce health.(Loeb版)
本学部の設置認可後は、他大学でも健康プロデュース学部の理念に似たような理念を掲げる学部、学科が次々と立ち上がりました。単なる様々な領域の集合体ではなく、研究者がいかに協同しそれぞれの力をどのように協働していけるのかが問われています。これらの叡智や成果を融合、統合していこうとするところに現代的な健康科学、人間科学の価値が求められているのではないでしょうか。
5つの専門領域をもつ学科が「健康」をキーワードに「つながる、ひろがる、つくりだす」という常葉大学のロゴマークに込められた3つの教育理念の実現をしていくことが健康プロデュース学部のミッションではないかと考えています。

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