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Vol.45


静岡まちなかハイキング in 谷津山
 -新しい行動様式での野外活動-

 地域の皆様、常葉大学学生の皆さん、こんにちは。
 本稿を執筆しているのは7月はじめです。令和2年6月19日に、県を超えての自粛要請が解除され、大学では部分的に対面授業も始まって来ました。人々の行動も外出自粛時より、少しずつ拡大しています。しかし、新型コロナウイルスに係る感染防止対策はこれからも行う必要があり、3密(密閉・密集・密接)を避け、日常的にマスクを着用したり、手洗いを行ったりすることは必須です。そのような中、皆さんは健康づくりや気分転換をどのように行っていますか?
 人は自然を感じる環境の中に20~30分いることで、コーチゾルというストレスホルモンが効果的に減少することが示されています1)。しかし、自然に触れるような野外活動をしたいと思っても、野外活動における新型コロナウイルス感染症対策については、あまり知られていないと思います。そこで、今回は、現段階における野外活動時の対策と、すぐにでも体験できる静岡市街での野外活動の実際を紹介したいと思います。
 筆者も所属している公益社団法人日本山岳ガイド協会ほか、アウトドアスポーツを推進している全10団体は、野外で登山やトレッキングなどの活動を行う際の、新しい行動指針である「#ステイコネクテッド~自然と適切につながるための6つのヒント~」を提案しています2)。
以下は要約です。
「行く前」
●出発前に現地の状況を調べよう(救急医療が切迫していないか/登山道やフィールドの閉鎖はないか/混雑が予想されないか)
●事前にしっかり計画しよう(商店や施設の閉鎖はないか/感染予防対策の用具を準備したか)
●身近なフィールドで過ごそう(遠出は慎重にして身近な自然を楽しむ/誰かと行動する際は生活を共にしている家族などを基本とする)

「行ってから」
●フィジカルディスタンスを実践しよう(他者との身体的距離を保つこと/鼻や口を覆うことができるような防護具の準備/手指の消毒の準備)
●安全第一で行動しよう(けがや事故防止のため普段よりゆっくり行動する/リスクの少ない行程やルートを選ぶ/体調不良の際は中止する)
●自然にダメージを残さないこと(フィールドを管理する方々に敬意を払う/持ち込んだものはすべて持ち帰る)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 具体的な行動については、山岳に関する各団体が3-5)、登山における対策を示しています。今回は、野外活動を、皆さんが取り組みやすいように、泊りがけで行くような登山ではなく、丘陵や里山でのハイキングやトレッキングを1~数時間程度行う活動と位置づけ、これらの指針の中から必要だと考えられるものを、お知らせしたいと思います。

<野外活動における通常の注意点>
 野外では、街中のようには整備されていない道であることおよび、街から離れた環境に行くことにおいて、普段の運動とは異なる注意が必要です。
●事前に体調管理を十分に行い、過度な疲労を招かないようにしましょう。
●事前の暑熱順化、暑い時間帯を避ける行動計画、帽子着用、十分な水分補給、日陰での休息など、熱中症の対策を行いましょう。
●事前にどのようなコースなのか、調べておきましょう。道の状態、予測される運動の強さや所要時間、トイレの有無、利用できる施設や設備の状態などを知っておきましょう。
●トレイル(舗装されていないような山道)は石が転がっていたり、木の根が出ていたり、落ち葉が積もっており滑りやすいです。靴底にしっかりした溝があり、足にフィットする紐靴を履きましょう。
●害虫から刺されることを避けるため、服装は、靴下を履き、長ズボンにしましょう。
●万が一体調不良やけがをした際、救助を依頼する方法を確認しておきましょう(誰かに出かける場所や時間を知らせておく、携帯電話の電波が届くのか確認するなど)
●市街地に近いほど、防犯に留意することも必要です。薄暗い時間帯やあまり人気がない時間には、単独で行動することは避けた方がよいでしょう。

<新型コロナウィルス感染症拡大防止を意識した野外活動における行動>
 通常の野外活動の注意点に加えて、感染症対策も行う必要があります。推奨する持ち物は以下です。
マスク(数枚)、マスクを入れるビニル袋(口がファスナーで閉じるもの)、ネックゲーター(首から口や鼻を覆う専用のスカーフ)、手指消毒剤(小ボトルのジェルタイプが持ち運びしやすい)、除菌シート、ごみ袋(口がファスナーで閉じるもの)、アイウエア(眼鏡やサングラスなど)
活動時の注意点は、以下です。
●活動する場まで行ったり活動の場から帰宅する際の移動時には、3密にならないように注意しましょう(車で乗り合わせたりせず現地集合にする、など)。
●無理な行動により体調不良を起こし、救助を要請することは社会に負担をかけます。慎重に活動してリスクを減らしましょう。
●運動中や暑い環境下でマスクを常時着用すると、熱中症の危険が増します。歩行時には、マスクは外して、ビニール袋に入れ、すぐに取りだせるようにポケットに入れておいたり、ネックゲーターを着用しておき、すぐに口や鼻を覆えるようにしておきましょう。ただし、ネックゲーターは薄手だと飛沫飛散防止効果が不十分な場合があります。薄いネックゲーターの場合は、二重にしましょう。
●運動中も、他の人と2m以上の距離を確保しましょう。ただし、激しい呼吸をしながら歩行する際、飛沫は2m以上飛散し、後ろの人が浴びる可能性があります。そのため、時速4kmの歩行では5mの距離が安全だと言われています。マスクを着用せずに複数の人と野外活動を行う際は、できるだけ普段の2倍以上の距離をとるよう留意しましょう。
●細い道のすれ違いでは、十分な距離をとることは困難です。向こうから来る人と、顔が向き合わないようにしましょう。また、大きな声で挨拶したり、立ち止まって会話することは避けましょう。すれ違いの際には、マスクをつけたりネックゲーターを上げたりして口や鼻を覆うようにしましょう。
●アイウエアは、医療用のゴーグルとは異なり、飛沫防止効果は十分とは言えませんが、息が荒くなるような運動をする際には装着が推奨されます。
●ごみ袋を持ち歩き、マスクやごみは、現地に捨てず、自宅に持ち帰って処分しましょう。
●手すり・鎖・アスレチック用具などは不特定多数の人が触れるため、それらに触れた後は、手指消毒を行いましょう。また、ベンチやテーブルを使用する際は、除菌シートで消毒しましょう。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 野外活動は、健康増進や心の癒しのために、大変有効です。ずっと自宅に籠った生活が続いたり、仲間で楽しく飲食して盛り上がったりすることが難しい現在、思い切って野外に出てみませんか?まずは「#ステイコネクテッド~自然と適切につながるための6つのヒント~」の通り、近くで楽しんでみましょう。
 静岡水落キャンパスのすぐ近くのまちなかに、谷津山があります。谷津山は、静岡市街のあちこちから見える小山で、鉄塔が2本あります。水落キャンパスから山頂まで直線でわずか2Kmの距離です。皆さんは谷津山を知っていましたか?この山には散歩コースが整備されており、健康増進としての身体活動を行いながら、葵区や駿河区の景色を眺めたり、自然と触れ合ったりすることができます。
 下記の資料「静岡まちなかハイキング in 谷津山」をクリックしてみて下さい。皆さんが、谷津山での運動と癒し効果についてイメージできるように、約40分間運動した際の運動強度のデータと、50枚の写真で紹介しています。参考にしてみて下さい。

 これからも、今と未来の自分のために、新型コロナウイルス感染症拡大防止に係る国や県、および所属機関等の指針に留意しながら、新しい行動様式における健康増進を続け、こころに癒しを与えていきましょう。

執筆者 白石 葉子
健康科学部看護学科 教授
(専門は基礎看護学)
参考文献:
1) MaryCarol R. Hunter et.al;Nature Experiences Reduce Stress in the Context of Daily Life Based on Salivary Biomarkers,Front. Psychol., 04 April 2019|https://doi.org/10.3389/fpsyg.2019.00722
2) 一般社団法人コンサベーション・アライアンス・ジャパン(共同提案統括団体)https://outdoorconservation.jp/news/1579?fbclid=IwAR0fe1Kd90FNcSagreZrVWzIpoqgmlxQSZzSGJNE64_qG3tmlFR27bOa-L0 2020/7/03
3) 日本山岳ガイド協会、「新型コロナウィルス感染症拡大防止のための行動指針」http://jfmga.com/pdf/corona_guideline_Vol.7.pdf 2020/7/03
4) 山岳医療救助機構、登山再開に向けた知識、https://sangakui.jp/data/wp-content/uploads/tozan_knowledge_practical0524s.pdf 2020/7/03
5) 一般社団法人日本登山医学会、新型コロナウイルス感染防止と登山について、http://www.jsmmed.org/ 2020/7/03

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