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減災/池田浩敬教授

本学社会環境学部長の池田浩敬教授の記事が、静岡新聞に掲載されました。
以下、4月27日(日曜日)静岡新聞の記事です。

減災

静岡県の第4次地震被害想定では、想定対象とする地震・津波を「レベル1=発生頻度が比較的高く、発生すれば大きな被害をもたらす地震・津波」と「レベル2=発生頻度は極めて低いが、発生すれば莫大な被害をもたらす、あらゆる可能性を考慮した最大クラスの地震・津波」の2種類に分類して想定を実施している。
「最大クラスを想定している」と言われると、その情報を受け取った側は「もうこれ以上の被害は考える必要が無い」と受け取るのが普通である。それは、静岡県といった広がりを持った地域での被害の総量では、「最大値」と考えてほぼ間違いないと思われる。
しかし、局所的に見た場合には話は異なってくる。第4次想定では、レベル2の想定結果においても、東部地域では、一部で地震動の大きさや津波高が、東海地震を想定した前回の第3次想定より小さくなる場所が出現している。
これは、ある広いエリアで見た場合の地震動や津波高を全体として最大化するようなモデルの条件を考えたときに、それは必ずしも個々の局所的な地点での地震動や津波高を最大化する条件とは一致しない、ということである。ある程度広域なエリアでの“最大クラス”と、局所的な地点地点で考えうる“最大クラス”とは別物である。
しかし、「津波避難計画」などは、被害想定結果としての浸水域を参考に計画が検討される。新しい想定こそが、“最大値”で、それ以上の被害を考える必要は無い、という考え方は、こうした局所的な防災計画を考える上では危険である。個々の場所で科学的根拠を持って想定しうる“地点ごとの最大クラス”を考慮して、検討することが必要である。
(2014年4月27日 静岡新聞掲載)