「ヴィアティン桑名」クラブ内に研究所/恒川秀紀准教授

本学 健康プロデュース学部健康柔道整復学科の恒川秀紀准教授の記事が、中日新聞に掲載されました。
以下、11月6日(水曜日)の中日新聞の記事です。

「ヴィアティン桑名」クラブ内に研究所

足のゆがみはけがのものー。
三重県初のJリーグ参入を目指すヴィアティン桑名(後藤大介代表)が、足病学を基にしたスポーツ医学研究所をクラブ内に立ち上げた。学術研究を進めるとともに、連携する三重県桑名市の整骨院内にヴィアティン・スポーツメディカルセンターを置いて、診療や助言を行い、選手の能力アップやけがの予防を目指す。(宇佐美尚)

ヴィアティン桑名は、サッカーを中心に陸上やダンスなど、子ども向けのスクール事業にも取り組む。その中で多くのサッカー選手が悩まされ、場合によっては選手生命にも影響する足のけがを軽減し、安心してスポーツに打ち込んでほしいと足の骨格に注目した。
研究所の副所長に就いた恒川秀紀常葉大准教授(スポーツ科学)は、「欧米に比べて国内では足のゆがみに対する理解が進んでいない」と指摘する。そのためスポーツ選手でも、本来は直立しているはずのかかとの骨が外側にまがって土踏まずがつぶれた、いわゆる扁平(へんぺい)足のままプレーをする例が多いという。

ヴィアティンスポーツ医科学研究所

骨配列が乱れた扁平足では、土踏まずなどに生まれる弧を使った足裏のばねが使えないばかりか、そのままプレーを続けると負担に偏りが生じて甲の疲労骨折などにつながることもある。特にジョーンズ骨折とも呼ばれる小指側の第5中足骨の骨折が多い。
現在のサッカー日本代表でも、FW香川真司が2011年アジア・カップで負傷して長期離脱を余儀なくされ、DF吉田麻也もJ1名古屋からオランダへ移籍した直後にこのけがに悩まされた。
完治までに時間がかかり、長ければ完全復帰までに1年近くかかることもあるという。サッカーだけでなく、ラグビーや陸上など他競技でも苦しむ選手は多い。
研究所は、臨港病院(名古屋市港区)の医師、高野大輔所長と恒川副所長がデータの蓄積や分析、啓発活動を主に担当。メディカルセンターで実際に診断を行い、個々人に合わせた靴の中敷きや、骨を本体の位置に戻す用手療法、テーピングなどで、乱れた骨配列を整える。
また、足首から下の筋肉を鍛えて、乱れを予防する方法なども指導する。小さな子どもを持つ母親や、高齢者向けの講習会なども開催して、足の骨のゆがみに体する理解を深めてもらう。
クラブ内にこうした研究所を置くのは全国的にも珍しい。競技や所属クラブ、年代などに関係なく選手や一般患者を受け入れる。整骨院のスタッフ数人が対応し、将来的にはクラブ経営の強みにしていきたい考え。「選手が、長く、安全にプレーできるように力を尽くしたい」と恒川准教授。足の改善で、選手の持つ100パーセントの力を引き出すことを目指す。

ヴィアティン桑名

2012年、三重県桑名市に設立。ヴィアティンはオランダ語で「14」を意味し、本拠地を置く桑名市に住む約14万人に支えてもらいたいとの思いが込められている。17年のJリーグ参入を目指して、昨年、県3部リーグに加入。初年度で昇格を決め、現在は県2部リーグを戦う。トップチームには、元Jリーガーを含む8人のプロ選手が在籍している。

足病学

足の骨配列の乱れに起因する病気や痛みを研究する分野。骨の配列を整えることで、扁平足や外反母趾(ぼし)など足にかかわる病のほか、膝や腰の痛みなどに対処する。ドイツや米国、英国などでは一般社会で広く認知されているが、国内では一部の整形外科医が取り扱う程度で、あまり知られていない。