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親子をつなぐ“憲法上の親の権利”


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多感な高校生だった頃、ベルリンの壁の崩壊や6・4天安門事件などの政治的な激動があり、政治への関心をかき立てられました。大学に入ってから政治とも関わりの深い法学の一分野である憲法学に出会いました。そして大学院進学後は主に権力分立を研究し、ドイツに留学時も、この研究を継続しました。
現在は憲法の人権の分野、特に日本では未だ十分に研究が進んでいない分野である“憲法上の親の権利”について研究しています。この権利はドイツの基本法(憲法)では明文で定められていますが、日本国憲法には明文の定めがありません。そのため、日本では親の権利が人権であるとの意識が薄く、民法で定められた親権は離婚時に一方の親から剥奪されてしまいます(これを離婚後単独親権と言います)。
厚労省の統計によると、離婚後に親権を失った一方の親と子の実に6割以上が交流を行っておらず、毎年20万人ほどの子どもが別居する親との関係を絶たれており、子と別居する親の自殺率も通常の5倍ほどに達しています。このように、親子断絶の悲劇は北朝鮮拉致問題に限ったことではないのです。私たちが住む日本国内で日常的に多発しているのが実状です。
こうした悲劇を防ぎ、離婚後にも親子の絆を守りつつ、子どもたちが両親による共同養育を受けられるよう保護するのが“憲法上の親の権利”なのです。世界の国々では離婚後も両親が子どもを養育する共同親権が当たり前となっています。他方、離婚後単独親権のもとで離婚時に一方の親から親権を奪うことによって大半の親子関係を断絶させている国は、北朝鮮や日本など僅かに残るのみです。
親子の交流をも保護する“憲法上の親の権利”は、たとえ日本国憲法に明文の規定がなくとも解釈によって導き出すことができます。将来わが国にも導入が検討されている離婚後共同親権制度の憲法上の根拠をなすものと言えるでしょう。

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