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学長室ブログ

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平成28年度常葉大学・大学院 入学式

4月6日(水曜日)にグランシップ静岡で開催された、
平成28年度常葉大学・大学院入学式の学長式辞をご紹介します。


 三寒四温の天候も落ち着き、今静岡県内の桜は花盛りです。本日、常葉大学はご来賓列席の元、総勢1,880名の新入生を迎えました。入学おめでとうございます。教職員を代表して、皆さんを心より歓迎します。ご家族の皆様に対しても、衷心よりお喜びを申し上げます。
 平成28年度は、本学にとって特別な意味をもつ年です。学園内の三大学の統合により、新生常葉大学が発足して4年目を迎えたからです。大学では、医学部、薬学部等を除く、学部の修学年限は4年と定められていますので、新大学に入学した学生は、来年の三月に卒業することになります。つまり、平成28年度は、第一回目の卒業生を送り出して、最初の「一区切」を迎えるという大変重要な年になります。
 これまでの3年間、本学の大多数の教職員は教育改革に取り組んできました。私は、入学式の機会にこの教育改革の一端を紹介して、今後、本学の一員となった新入生の皆さんと一緒に、改革を進めたいと願っています。
 本学の教育改革の目的は明確です。どこの大学にも負けない、質の高い教育を提供することにあります。ところが、私には、教育にはいくつかの改革に障害となる特色があることを体験してきました。そこで教育上の特色とその障害とは何かについて触れておきたいと思います。
 私は、教育には3つの特色があると思います。第一の特色は「時間がかかる」ことです。本日、多数のご家族がお見えになっていますが、どなたも幼な子に一つの言葉を何度もなんども繰り返しながら覚えさせた経験があると思います。もちろん、「時間がかかる」のは大学教育だけではなく、ものごとを教える場合の一般的な特色だと思います。
 教育の第二の特色は、「やり直しがきかない」ことです。この特色は子どもの成長過程におけるある限られた期間に教育を授けないと、将来の成果に大きな影響を及ぼすことを云います。私は、音楽、美術など芸術分野の先生が教育の適期を逃すなと厳しく指摘されていたことを耳にしています。
 教育の第三の特色は、「当事者の意欲が教育効果を大きく左右する」ことです。ここでの直接の当事者とは、新入生など学生の皆さんと私たち教員・職員を指しています。もし学生や先生に「ヤル気」がなかったら、そもそも教育というものは成り立ちません。

 従来の教育内容を大幅に変えるという、教育改革の難しさは、これら三つの特色に起因する現実問題を、ほぼ同時・並行的に解決しながら改革を進めなくてはならない点にあります。「時間的制約」や「再挑戦の難しさ」という第一と第二の教育の特色から生じる問題は、どんな仕事を進める場合にも付随するものですが、第三の「当事者の意欲維持問題」は、大学教育を支え、発展させるための最も基本的要件です。どんなすぐれた教育改革プランであっても、学生や先生など直接の当事者にそのプランを実行に移す意欲がなければ、教育改革は「絵に描いた餅」に過ぎません。

 そこで本日、新入生の皆さんに言いたいことの第1は、「常葉大学で学ぶことに誇りと意欲をもち、大学の講義、実験、実習、そして課外活動に最大限のエネルギーを注いでほしい」と云うことです。
 これは本日の入学式における私、学長からの4年間に亘る「宿題」だと受け止めてください。つまり、大学は「遊びの場」ではないのです。
 次の話題に移ります。常葉大学は教育改革をはじめるに当たり、学内の教育関係者の役割を洗い直して、新たな定義を与えました。その際、ここ数十年に亘る地域社会における教育環境の変化を最大限に重視しました。
 まず従来の定義について紹介しましょう。ちなみに、学生は4年の就学期間を修了すると、一人の卒業生として大学を去るものと理解されてきました。ところが、大学の先生は教育を授ける「教え手」として教育主体と明確に位置づけられてきました。他方、学生は大学の先生から教育を授けられる「学び手」、教育客体とみなされ、つまり大学の「お客さん」として取り扱われてきました。要するに、先生と学生は、「教え手」と「学び手」という上下関係で捉えられてきたのです。

代表学生と握手をする学長

 そこで、常葉大学では学生の果たす役割に期待して次のように再定義しました。今日の地域社会の変貌を象徴するのは、「少子高齢化」であり、人口が集中する都市圏から一歩外に出ると、若者や子供の姿は極端に少なくなります。政治やマスコミの世界では、相も変らず、「地方創生」や「一億総活躍社会」等のスローガンが躍っています。
 常葉大学は、「地域貢献」を教育理念の一つとして掲げています。常葉学園創設以来、地域と共に生き、地域と共に発展してきたからです。このような発展のプロセスで、学生の活躍には、目を見張るものがありました。しかも学生の活動の源泉は、個々の学生の「自立性・自律性」にあることが判明しました。
 そこで、常葉大学では、学生の位置づけを抜本的に変えました。つまり、学生は、「地域社会で生涯にわたり自己実現を目ざす持続的かつ実践的な学び手」と捉え直すと同時に、学生は「常葉大学と地域社会を結ぶ『橋渡し役』」と位置づけました。そして、両者の視点を合体させて、学生は地域社会における「実践主体」と明確に定義しました。
新入生の皆さんに言いたいことの第2は、「地域社会で生き抜き、地域社会の将来を担うという強い意思を持って、「地域とは何か」を学び、地域の一員となってほしい」ということです。
 これも入学式における私、学長からの4年間に亘る第二の「宿題」です。新入生の皆さんは本日から受身の一学生ではなく、地域社会における主体性を持った前向きな実践主体なのです。
 最後の話題に入ります。ちなみに、私たち日本人は客観的な自己認識が希薄だとしばしば指摘されてきました。その意味は自らの強みやよって立つ思想的な基盤が脆弱であり、それを自ら創り上げ、自ら律する能力が欠けていると云うものです。要するに、私たち日本人には、スローガン的な思想は存在していても、何ら体系化されたものがないので、外部からの批判に真正面から立ち向かうことが不得手だとも決め付ける論調です。
 このような外国と対比した一方的な日本人論はさて置いて、私たちは自己認識を高めるために、自らの過去を充分踏まえた上で、その中から「自分の考えを構築する」ことは非常に重要だと、常々私は考えてきました。
現在の教育改革では、一つの事柄を他のものと関連させながら体系的に捉えることに重点を置きました。しかもその対象分野を、自然科学から社会科学、そして芸術・文化など人文科学を全般的にカバーできるよう工夫を重ねました。もちろん、「教養教育の充実」が最大の狙いです。 

 本日の式辞を結ぶに当たり、私が言いたいことの第3は、「手当たり次第に本を読んで下さい。そして友人や先生と大いに議論してほしい」と云うことです。これもまた、4年間に亘る第三の「宿題」です。
 スマホから即座で手軽に得られる情報は知識の一断片、単なる素材に過ぎません。本当の知識は第三者との対話を通じて皆さんの頭の中で発酵・熟成したものです。
 常葉大学は県内唯一の私立総合大学として、現在多様な展開を試みています。これらの動きは、21世紀知識基盤社会に対応できる教育体制の体系的整備の一環です。この成否は新入生の皆さんの双肩に懸かっています。共に頑張りましょう。
 改めて、本日のご入学おめでとうございます。本学での皆さんの大奮闘を期待しています。健康にも充分留意してください。               

平成28年4月6日 常葉大学長 西頭 德三