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学長室ブログ

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平成27年度常葉大学・大学院 入学式

4月6日(月曜日)にグランシップ静岡で開催された、
平成27年度常葉大学・大学院入学式の学長式辞をご紹介します。


 長く寒かった冬の季節も終わり、明るい光と共に陽春がやってきました。平成27年4月のこのよき日に、常葉大学は第3回目の入学生を迎えることができ、教職員一同大変うれしく思っております。
 本年度は、10学部19学科に、編入生を含めて1,798名の学部生と、4つの研究科に26名の大学院生を、また留学生別科へ1名の総数1,825名の皆さんをお迎えしました。ご入学おめでとうございます。皆さんを常葉大学の一員、同じ仲間として大いに歓迎します。また、ご両親をはじめご家族の皆様に対しても心よりお祝い申し上げます。お子様のご入学おめでとうございます。

 新入生の皆さんは今日から常葉大学での「学び」が始まります。皆さんは、大学と云うところで勉強するのは初めてであり、期待と不安の入り混じった、複雑な心境かと思います。
 そこで私は、これからの本学での「学び」に先立って、常葉大学の教育は何を目ざしているのか、そして、大学での「学びの手順」はどのようなものなのかについて、そのアウトラインをお話しします。
 また、本日の入学式には、多数のご家族の皆様がご出席になっていらっしゃいます。ここでお子様が何を学ぶかを知っていただくことで、引き続き皆様の家庭で、お子様のよき相談相手になっていただきたいと思います。

 私は、大学での「学び」には大きく分けて、三つの段階があると思ってきました。
 まず、「学びの第一段階」として、やや哲学的な云い方になりますが、ひとりの大学生として自分自身に問い掛ける段階があると思っています。私なりにそれを表現すれば、大学の講義を聴く前に、自分の頭の中にある雑念(ざつねん)を全て捨てて、無心の境地になって、もう一度自分自身に問いかけてほしいのです。つまり、「自分は大学で学んだ後の永い人生でどんな生き方をしたいのか」を自問自答してほしいのです。

 このように云うと、新入生の皆さんからたちまちいくつかの反論が返ってくるでしょう。ある人はこう云うでしょう。「自分自身の進路については、自分でよく考え、また両親や高校の先生とも相談して、現在の学部や学科を選び、受験し合格した。これ以上何を考えろと云うのか」と。またある人は、「確かに、今の自分にはそれほどはっきりとした将来の目標はない。これからの大学での4年間に進路を見つけ、深めていきたい」と云うでしょう。さらに、「自分自身のことなど一生かかっても分からないと思う。それが人生というものだ」と言い切る人もいるでしょう。私はいずれの答えも間違っていないと思います。

 ただ誤解を招かないために、私の問いかけについてもう少し付け加えておきます。私が自分自身に問いかけてほしいと云うのは、4年後、大学を卒業してどんな職業に就くかという、ごく近い将来の職業等、具体的な事柄ではないのです。長い人生の、たとえば約30年後の50歳代には、「自分はこんな生き方をしてみたい」ということです。たとえば、「人生における夢」、あるいは「人生観」とでも云えるものです。もちろん、これから20代に入ろうとする若い皆さんに対して、「人生観」を求めるのは無理なことかも知れません。しかし、私は無理を承知で、ここで一度立ち止まり、自分の生き様を考えてみるという難問を持ち出しているのです。

 このように問いかけるには、いくつかの理由があります。ここでは最も重要な一点についてのみ述べます。これから始まる大学生活は、幼少期からの長い学校生活のまとめの「学びの4年間」です。同時に実社会に出るための準備の「学びの4年間」でもあります。つまり、新入生の皆さんは、今、学校と実社会の「結び目」に立っているのです。
 その点においては、大学に対しても同様なことが云えます。いかなる大学も「長期的な視点に立ち、それぞれの学生が生涯にわたり幸せな人生を送ることの出来る、質の高い教育」が求められています。大学は新入生の皆さん及び実社会からの切実な要求に応える義務があり、いきを抜くことのできない4年間なのです。

 つまり、「学びの第一段階」では、自分自身を深くかえりみて、将来について考えをめぐらすことは、「大学教育を受ける者」である学生にとって、また「大学教育を授(さず)ける者」としての大学教職員にとっても、決して疎(おろそ)かにできないことなのです。

 大学での「学びの第二段階」は、自分の人生の充実に向けて、どんな努力が出来るかを考えて、徐々に行動に移す段階です。云い換えると、人生の目標を絞り込んで、努力の方向性を定めて、実行する段階なのです。いかなる人生観や雄大な夢も、日々の努力の積み重ねがなくては、現実のものにならないからです。

 「学びの第二段階」については、簡潔に三つのポイントのみを述べます。第一に、先入観なしに周囲を見回して、「自分の立ち位置及び能力」を確認して下さい。第二に、常葉大学の「学びの環境」を最大限に活用して下さい。これから始まる教養科目・専門科目を問わず、先生方の講義には将来に関わる数多くのヒントが隠されています。自分の力でそれを探してください。第三に、自分の「将来に関わる書物」を探し出して、真正面からぶつかって下さい。本の価値は読み手の姿勢次第で大きく変化します。
 要するに、「学びの第二段階」とは、社会における自分自身を客観的に観察し、努力を積み上げる段階です。

 さらにここまでの私の話を要約すると、「学びの第一段階」では、自分の生き方を考え、「学びの第二段階」では、人生の目標に向う自分の能力を自分で判断して、努力する段階です。
 最後に、「学びの第三段階」について説明します。この第三段階は、自分の生き方に沿って、実社会で活動するための準備段階です。そこで、「大学教育を授(さず)ける者」の立場に立つ、新生常葉大学が取り組んでいる教育改革の現状について、知っていただきたいと思います。

 私たちの教育改革の最終目標は、一人ひとりの学生の幸せが実現することに置いています。すなわち、それぞれ学生の皆さんが生涯にわたり素晴らしい人生を送れるような、新しい大学教育研究システムを構築したいと思っています。
 まず、この最終目標に照らし合わせて、常葉大学では学生の捉え方を抜本的に改めました。従来からわが国の大学では、教員は学生を前に講義する「教え手」であり、学生は先生から教わる「学び手」と捉えてきました。しかし、統合後の新生常葉大学では、若干抽象的で難しい表現になりますが、学生とは、「生涯にわたり自己実現を目ざす持続的かつ実践的な学び手」と捉え直しました。
 今、ここで「自己実現」という、新入生の皆さんにとってあまり耳慣れない言葉を使いました。この自己実現という言葉は、「自分の中に潜む可能性を自分で見つけ、十分に発揮していく」という意味です。前向きで積極的な生きようと自ら行動するという言葉です。

 したがって、「自己実現を目ざす学び手」とは、「前向きで自ら行動する学生」と云い換えられます。つまり、常葉大学の教育改革では、「前向きで自ら行動する学生」を育てるために、抜本的な教育研究システムの構築を目指しています。
 ところが、学生の捉え方の見直しはこれに止まりません。「生涯にわたり持続的な学び手」とあるように、「生涯にわたり」という「時間」の概念に加えて、「地域の人々と密接に交流し、地域社会の持続的発展に貢献する学び手」というように、「地域社会」という「場所」の概念を付け加えました。
 今の説明は抽象的で大変分かりにくいと思います。次のように言い換えます。要するに、統合後の常葉大学では、新入生の皆さんは単なる「学生」ではなく、大学と地域社会との「橋渡し」をする常葉教育の実践者、「実践主体」と位置づけたのです。皆さんは単なる受身の学生でなく、卒業後も学び続けて、21世紀の地域社会を創り上げる実践者と明確に捉え直したのです。

  現在、教員並びに職員が一丸となって、時代と地域の要請に応えられる、新しい教育研究体制の構築に取り組み、三年目を迎えています。なお、この教育改革の中身については、昨年から静岡、浜松、富士の三キャンパスで公開シンポジウムを開催してきております。今年度も実施予定ですので、学生やご家族の皆さんにも関心を持っていただき、子育て、教育の実体験やその知恵をお聞かせいただきたいと思います。
 私たちは出来るだけ多くの方の意見を汲み上げながら、短期間で陳腐化しない、大学教育のあり方を考えたいと思っています。
 
 繰り返すまでもなく、新入生の皆さんは今まさに、学校と実社会の結び目という大変重要な位置に立っています。そこで、「大学教育を受ける者」として、どんな目的で、何をなすべきかを少しは理解できたかと思います。とは云うものの、「学びの三段階」はそれほどスムーズに進まないと思います。私の話は理想論に過ぎるかも知れません。
 ただ今日の入学式の時点で、常葉大学の教育は何を目ざし、大学での「学びの手順」はどのようなものかについて理解していただければ、一歩前進だとも思い、私の日頃の考えを披露しました。私は「学びの目標」を定めて、「学びの手順」を繰り返すことが「学びの本当の意味」だと思ってきました。
 本日の式辞を結ぶに当たり、私の夢を紹介しておきます。
       私の夢は、本日入学した1,825名の皆さん一人ひとりが、
           長いながい時間をかけて実社会で素晴らしい人生を創りあげてくれることです。

 本日はご入学大変おめでとうございます。


2015年4月6日常葉大学長 西頭 德三