グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



学長室ブログ

ホーム  > 学長室ブログ  > 平成26年 常葉大学・大学院入学式

平成26年 常葉大学・大学院入学式

入学式 学長式辞

4月6日(日)に平成26年度常葉大学・大学院の
入学式が開催されました。

常葉大学として2年目となる今回は、日曜日だったこともあり
大勢の来賓・保護者の方にご出席いただき、
盛大に開催することができました。

今回は、入学式の学長式辞を紹介します。


 長く寒かった冬の季節も終わり、明るい光と共に陽春がやってきました。平成26年4月のこの好き日に、新生常葉大学は10学部19学科、編入生を含めて、第二回目の入学生1781名、及び大学院入学生29名の総数1810名の皆さんを迎えることができ、教職員一同大変うれしく思っております。ご入学おめでとうございます。皆さんを常葉大学の一員、同じ仲間として大いに歓迎します。 また、ご両親をはじめご家族の皆様に対しても心よりお祝い申し上げます。お子様のご入学おめでとうございます。
 常葉大学はよくご存知のように、今から1年前、平成25年4月に学園内の常葉学園大学、浜松大学、そして富士常葉大学の三大学を再編・統合し、さらに法学部、健康科学部を新設して、総合大学化した新生常葉大学として再出発いたしました。統合前の三大学の内で最も早く創設されたのは、静岡市瀬名地区にある常葉学園大学であり、その時期は昭和55年(1980)4月ですから、本学は34年ぶりに大改革を実行したことになります。
 今回の大改革の狙いは、わが国経済の構造変化や地域社会の変貌など、時代の変化とその要請に応えられる大学教育の展開にあります。したがって、これからの本学の大学教育にはいろいろな要素が求められるものと思っております。時代が変化すれば、若者の考え方も変わります。恐らく皆さんが自ら想い描く将来像は私たち教職員の時代のそれとは大きく異なっているに違いありません。このような世代間のギャップを埋めるのも、大学教育の重要な役割のひとつです。また、本学の教育が社会の変化に追いつけず、時と共に陳腐化することも避けなくてはなりません。だからと言って、時代の変化に追随するあまり、最も大切な教育の本質的部分を置き去りにしてもいけないのです。
 そこで私は、常葉学園の第二の草創期に入学された皆さんに対して、新生常葉大学がどこを目指して、どのような教育を行おうとしているかを、お話ししたいと思います。と云うのは、本学の新たな教育方向は私たち教職員の努力だけでは到底達成できないからです。本日、常葉大学の一員、仲間となった新入生の皆さんの協力が不可欠だからです。したがって私がこれから話す、いくつかの点についてはしっかりと心に留(とど)めてほしいと思います。要は、私たち教職員は学生の皆さんと手を携えて、今日の様々な課題に果敢に挑戦して、素晴らしい21世紀社会を築きたいと願っているのです。
 同時に、本日ご臨席の保護者の皆様をはじめ、後援会、監事、評議員の皆様方に対してご指導とご協力を賜りたいと存じます。

 本日、皆さんに特に心に留めてほしいことは三点あります。第一は常葉大学が私立大学であるということに関するものです。平成25年度時点で、わが国の大学総数は782校です。その内国立系が86校、公立系が90校ありますので、残りの606校は私立大学ということになります。私立大学の占める割合は77.5%で、わが国の大学のほぼ8割を占めています。この割合を学生数でみてみると、総学生数287万人の内、私立大学生数は211万人であり、73.5%を占めています。つまりこれらの数値から、私立大学はわが国の高等教育において大変大きな役割を果たしていることが分かります。
 ところで国公立系大学と私立大学の違いの一つは設置者にあります。国公立系大学は国や都道府県が設置した大学をルーツとしています。これに対して、私立大学は教育に熱い志を抱いた「一私人」、つまり先覚者が設置した大学です。したがって常葉大学のルーツは創設者木宮泰彦先生が設置された「静岡女子高等学院」にまで溯ります。設置されたのは昭和21年6月ですから、今から68年前のことです。木宮泰彦先生は旧制静岡高等学校教授として、太平洋戦争中厳しい勤労奉仕に明け暮れた女子教育の実態を目(ま)の当たりにされ、「質の高い教育により戦後復興を成し遂げ、新時代を切り開きたい」との固い決意をもって女子高等学院を創設されたのです。現在の静岡市の繁栄振りからはちょっと想像できないのですが、市内は一面の焼け野原で、新校舎も確保できず、浅間神社北回廊を借りて授業を始めたと記録されています。木宮先生の地元子女の教育に対する熱い情熱が今日一万人を超す児童・生徒・学生を擁する常葉学園の原点であり、原動力となったことをまず銘記していただきたいのです。
 昨年再出発した新生常葉大学は知徳兼備、未来志向、地域貢献の三つの教育理念を掲げています。半月前まで高校生であった皆さんには、「教育理念」は耳慣れない言葉かも知れません。教育理念とは創設者がどのような人材を育てたいかを明瞭かつ簡潔に表現したものです。特に私立大学にとっては、大学教育の根底にある根本的な考え方を示すものであり、大学運営方向を示す羅針盤とも云えます。
 当然なことですが、常葉大学は創設者の建学の精神を引き継いでいます。常葉大学の母体となった先進の三大学もまさに「地域と共に歩み、発展してきた」のです。この発展の背景には三大学の教職員が地元の地域社会と密接に連携し、地道な教育研究活動を続けてきた成果があることを忘れないでほしいのです。
 以上を要するに、心に留めてほしいことの第一は、常葉大学の新メンバーの一人として、私立大学の実態・性格、創設者木宮泰彦先生の地元子女に対する教育への情熱、三大学の地域社会に対する教育実績を理解していただきたいことです。

新入生代表と固く握手する一面も

 心に留めてほしいことの第二は、新生常葉大学が「地域貢献」を掲げていることについてです。地域貢献が知徳兼備、未来志向の二つと大きく異なる点は具体的な行動が伴うということです。地域貢献自体は大変分かりやすい言葉ですが、大学が教育理念のひとつとして掲げる以上、「誰が」「どのような地域貢献をするのか」を明確にして、学内的対応を進める必要があります。大学は高等教育機関ですから、地域貢献政策如何によっては教育内容を大幅に改善することも生じるからです。
 その前に、私は地域貢献に対しては歴史的・経済社会的な背景があると思いますので、まずそれについて三つに絞り述べたいと思います。そのひとつはわが国がリーマンショクに遭遇するまで地域社会の変貌や衰退についてあまり気に留(と)めてこなかったという実態があります。若干極論すれば、老人ばかりで村が維持できなくなり、かつてあれほど賑やかだった商店街が「シャッター通り化」して、はじめて地域問題が語られ始めたと云っても過言ではありません。二つ目にはわが国の家庭教育では、「東京志向」あるいは「大都市志向」が大変根強いことです。明治以降、「大都市東京に出ること=出世」という図式が頭にこびり付いているようです。三つ目は大学人自身も「中央志向の呪縛」から逃れられないことです。大学教員は東京と学会だけに目を向けてきたと揶揄されたこともあります。若者の多くが地方から流出して、東京一極集中が進む原因はこの辺りにあると私は思います。
 このような事情を反映してか、ごく最近まで多くの大学では「地域貢献」を頻繁に口にしながらも、足元に目を向けて全学的な行動を起こすことが少なかったように思われます。特に安倍内閣成立以降、にわかに「地域貢献」と「イノベーション」という言葉がマスコミ界で氾濫するようになりましたが、国民の目が地域に向くことを願って止みません。
ところで常葉大学では「地域貢献とは何か」「地域貢献の担い手は誰か」「地域貢献のためにはどのような教育が必要か」について議論を重ねてきました。なぜなら、これまでは「地域貢献の担い手」は大学全体であるとか、学部レベルや教員個人との実に曖昧に漠然と捉えられてきたからです。云いかえると、誰か関心のある人がやればよいという理解だったといえます。
 結論を述べます。常葉大学では21世紀の地域社会の真の担い手は学生、または卒業生であると考えています。現実に学生の皆さんは卒業後に地域社会に戻り職を得て、一人の社会人として生涯にわたり自己実現を目指す存在です。したがって常葉大学が掲げる三つの教育理念は皆さんの長い社会生活を通して、地域社会で実現できるのです。その意味では、皆さんは常葉大学と地域社会の「橋渡し」の役目を担っているのです。私たち教職員は教育研究活動の一環として地域社会と関わることはあっても、地域社会の恒常的な活動の主体にはなり得ないのです。つまり教職員は学生や卒業生の皆さんの役割を代替できないのです。以上のような結論は全く自明のことであり、それゆえ議論の俎上に載ることはなかったと思われます。
 ここで第二に心に留(とど)めてほしいのは、皆さんは地域社会を再構築する「真の担い手」であり、常葉大学と地域社会の「橋渡し役」であるということです。足元の地域社会の問題は「政府や県の仕事」と傍観者的に構えておられないほど深刻な事態になりつつあります。繰り返すまでもなく、新生常葉大学再出発の意義は皆さんと共に地域再生に寄与することにあるのです。
 最後に、心に留めてほしいことの第三は、「地域貢献のためにはどのような教育が必要か」に関することです。三月中旬に行なわれた三大学の卒業式で、私は次のような話をしました。「卒業生の皆さんが本格的に活躍する21世紀中頃には、わが国は知恵を活かす『知識資本主義経済』時代に移行しており、新たな知識を生み出せる創造的な人材が求められます。そして大学は創造的人材の育成で今まで以上に中心的な役割を担うことになる」と申しました。未来を予測することは大変難しいことですが、私はこの言葉をそのまま、本日の入学生の皆さんにも申し上げたいと思います。
 新生常葉大学が再出発する最大の意義は地域再生のため、創造力の涵養を目ざした大学教育を展開することにあるのです。もちろん創造力を養うことは大学に限らず、教育全般の最重要な課題です。ところが地域の課題は複雑、多様であり、普遍的あるいは共通的な課題は少なく、課題毎の弾力的かつきめ細かな対応が不可欠です。こここに地域と共に生きようとする大学の苦しみと役割があります。
 ここで創造力の涵養に関する現時点での大学運営上の私の意見を二点に絞り述べます。第一点目は従来の教育方法を時代の要請に応えて根底から変えること、第二点目は同時に、従来の大学運営方式を地域の実態に合わせて大幅に改善することです。その意味で、私は今回の三大学の再編・統合は大学改革の第一歩と位置づけ、改革のスピードをさらに高めたいと考えています。
 なお以上の説明は言葉足らずで、新入生の皆さんには充分理解できなかったかと思います。今後語り合う機会を設けることとして、これからの4年間に是非実行してほしいことがあります。それは小さなちいさな工夫を毎日ひとつだけ実行してほしいのです。創造とは大袈裟なことではなく、身近な工夫の積み重ねが大きな創造に繋がるのだと思います。

 本日より常葉大学は皆さんを自立した一人の人間として遇します。健康に留意して大いに青春を謳歌して下さい。改めて常葉本学へのご入学おめでとうございます。
平成26年4月6日  常葉大学学長 西頭 德三