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【1】「家庭の食品廃棄の裏側にある出来事への気づきと視覚化 」貝瀬優季さん(ビジュアルデザインコース)【1月26日更新】


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第19回 卒業制作展 学生インタビュー(1)

「家庭の食品廃棄の裏側にある出来事への気づきと視覚化 」

貝瀬優季さん(ビジュアルデザインコース)
常葉大学造形学部では、2023年1月27日(金曜日)~29日(日曜日)の日程で、第19回卒業制作展を開催いたします。卒業制作展へ向け、毎日作品と向き合っている4年生に卒業制作に関するインタビューを行い、連載記事として掲載することとなりました。

第1回はビジュアルデザインコースの貝瀬優季さん。「家庭の食品廃棄の裏側にある出来事への気づきの探究」を行い、それをインフォグラフィックにて視覚化してまとめています。食品ロスに着目したきっかけや、見にきてくれた人に伝えたいこと、卒業制作を通じた自身の成長について伺いました。

安易に課題解決するのではなく、廃棄が出る経緯や人々の裏側にある物語を可視化する

細かく親切に、自身の卒業制作について話してくれた貝瀬優季さん

「スーパーとかコンビニに入った時に物が大量に置かれている現場を見て、当たり前かもしれないけど、これが全部人の手に届くわけじゃないよなと…」

置いてある商品が全て人の手に届くわけではないことを考えてみたとき、その仕組みは本当にいいものなのだろうか?だれのための仕組みなのだろうか?と疑問を持つようになりました。この現状から食品ロスに注目し、学んできたサービスデザインの知識を活かして解決しようと考えました。

「家庭の課題を解決しようと思っていたのですが、家庭の中で食事を作る人に話を聞いた結果、安易に課題解決というふうにしてはいけないんじゃないかって」

産業の廃棄には仕組み化されている中で廃棄をしなければいけない明確な理由があります。例えば、賞味期限の長い商品を店頭に並べるための3分の1ルールといった明確な廃棄基準が定められています。そういったルールが決められているからこそ、廃棄の理由が明らかであることに気づきました。

食品ロスは、産業だけでなく家庭からも生まれています。産業の廃棄は理由が明らかであることに対し、家庭では一人一人全く違う生活の中から廃棄が出ています。文献調査では、「過剰除去・食べ残し・直接廃棄」のたった3種類といわれていました。

そして、その廃棄の変化を引き起こすもととはなにかを明らかにするために、家庭の食事を作る人を対象に廃棄に関するインタビューをしました。すると、家庭のお母さんの頑張りや葛藤が見えてきました。

そして、人の生活は簡単に理解できないもの、簡単に理解してはいけないものという矛盾を抱えながらも、背景にある物語を伝えたいと思いました。

食品ロスの裏側が実際に可視化された作品の模型


家庭の廃棄の裏側には出来事や物語があることを伝えたい

「主に食事を作る中で、廃棄を出してしまう人の価値観や知恵、経験とか失敗、そういう裏側を見えるようにしました。廃棄だけじゃなくて、その裏側にあるものを見てほしいというのが一番伝えたいことでした」

貝瀬さんはインタビューの結果、家庭から出る廃棄にはその家庭でご飯を作る人の「物語」や「知」があると考えました。ただ問題を解決するのではなく、その人の背景や裏側にある物語、何がどういう経緯で廃棄が出るようになったのかなど、その人の物語を見えるようにし、家庭の廃棄の裏側に出来事があることを伝えたいといいます。貝瀬さんは、インフォグラフィックを用いてこれらを可視化し、「物語」と「知」の存在を認識できる空間を作ることを試みました。

卒業制作で初めてできたことは、人の想いにすごく向き合えたこと

「お母さんたちと話した時に、葛藤や頑張っている様子がすごく尊いなと素敵だなと思って…」

実際に展示する作品の一部

今まで「サービスデザイン」を勉強して、事業者の目線に立ち、顧客の自覚していないようなニーズや求めていることを発見し、顧客や事業関係者にとって嬉しいサービスの体験を提案してきました。

貝瀬さんは今までの学びを活かし課題を見つけて解決しようと考えていましたが、実際に廃棄について聞くと、家庭の食事を作る人の頑張りや葛藤を大きく感じたといいます。そして、「どういう廃棄が出ているのか」と聞くことに罪悪感を抱き、彼女たちを責めている気持ちになりました。

これまで課題解決方法としてデザインを学んできたのに対し、卒業制作では別方向に考えるにはどの手法を使えばいいか、どの本を読めばいいか、誰に聞けばいいかなどと試行錯誤したといいます。貝瀬さんの指導教員でもある安武先生にもお伺いすると、貝瀬さんは社会学と文化人類学に踏み込んだ研究をしていたとおっしゃっていました。

最後に今後の展望についてお伺いしました。
「インタビューをさせていただいた方に視覚化したものを見てもらい、どう思うのか聞いてみたいです。また、今回行った廃棄の裏側を理解してもらうために、冊子や文章でまとめたものを作りたいですね」

貝瀬さんは2023年6月のデザイン学会に向けて論文をまとめていくそうです。卒業制作として仕上げて終わりではなく、より深い学びを目指して学び続ける姿勢がとても素敵でした。

貝瀬さん、貴重なお話をありがとうございました。

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