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減災/池田浩敬教授

静岡新聞の記事「いのち守る 防災しずおか」に、社会環境学部長の池田浩敬教授のコメントが掲載されました。
以下静岡新聞の記事です。

防災行政 総合的議論を

東北の被災地での復興まちづくりを見ると、防潮堤の整備、住宅の集団移転、土地利用の改編、道路整備などについては、それぞれ担当部署が異なり、ばらばらに住民への説明を行い、個別項目ごとの計画に対し住民の判断が求められているケースも少なくない。
しかし、実際にはそれらは密接に関連し、総合的な判断が必要となる。行政は住民に対し、まちづくりの全体像や項目間の関連について十分説明した上で、総合的な視点からの判断ができるよう努める必要がある。同様に、まちづくりを進めるに当たって、例えば"防災だけを取り上げた議論”というのは無理があり、有効ではない。
建築で言うならば、一つ一つの建築物は必ず機能・役割を担っている。店舗ならば物を売る、学校ならば教育を行う。そうした役割や機能を果たせることは必須の条件で、その上で“安全”であることが求められる。店舗としての機能が全く果たせない“安全な店舗”ができても、何の意味もない。このように一つの要素だけを取り出した議論はバランスを欠き、有効な結論が得られない。これはまちづくりにおいても同じである。
まちづくりで大切なのは、部局間の連携により、住民ニーズに対応した多様な選択肢・アイデアを用意することである。そのためには、行政は縦割りの弊害を除去し、部署横断的な議論ができる体制を整えることが必要不可欠である。
残念ながら、東北の被災地ではそれが十分とは言い切れない。それは被害があまりにも大きく行政の人的資源などが足りない、という側面も否定できない。しかし、まだ災害に発生していない被災地においては、行政が住民の声に耳を傾け、部局横断的に取り組む体制を確立して行ってもらいたい。
(2014年1月26日 静岡新聞掲載)